股関節(こかんせつ)とはどこの部分をいうのか知っていますか?

股(また)とつくので一般的な股間のあたりと思いがちですが実際にはもう少し奥のお尻に近いところをいい太ももの骨が骨盤と接する部分のことを股関節といいます。

そのため太ももやお尻、または腰に痛みがあっても実は股関節の障害が原因のこともあります。

股関節に障害があると歩き方にも影響が出て膝にも負担がかかります。

座骨神経痛や腰痛、または膝痛などと間違えやすいのですが実はおおもとの原因が股関節にあることも珍しくありません。

股関節は日常生活の全ての動作に影響する大切な関節です。例えば歩くことや階段の上り下り椅子からの立ち上がり等は股関節がうまく動かないとスムーズな動きができません。

ほとんどの人が腰の動きだと思っているゴルフや野球のスイングも股関節が基本となり股関節がうまく動かないと腰の回転もうまくいきません。

ところが加齢と共に誰でも股関節の動きは悪くなります。

主な理由は次の二つです。

1.股関節や周辺の筋肉の硬化

2.股関節を支える筋力の低下

等の理由により股関節にかかる負担が大きくなり日常動作や歩行時に支障がでます。

股関節の障害は痛みが出るまで気付きにくいのですが以下のような症状が認められる方は注意が必要です。

・歩幅が狭い又は大股で歩けない

・段差もなにもないところでつまづく

・膝に手をつかないと椅子から立ち上がれない

・足の上りが悪くなり階段が上りにくい

いかがでしょうか。股関節の障害を放置しているとクッションの役割をはたす関節軟骨がすり減り炎症が起こり痛みを伴う変形性股関節症を発症します。

もともと日本人は先天的に骨盤の発育不全を起こしやすく股関節に負担のかかりやすい人が多いようです。

若い時には筋肉や靱帯で股関節をサポートしているのでわかりにくいのですが中高年になり体重の増加や骨密度の低下筋肉量の減少等により股関節への負担が大きくなり日常生活にも痛みが生じることになります。

変形性股関節症の初期症状には運動した時に同じところが痛んだり座骨神経痛や腰痛、膝痛等もみられることもあります。

そのような症状を放置してしまうと股関節周囲の筋肉が硬くなり股関節の可動範囲が狭くなります。

関節可動域が狭くなると靴下を履く足の爪を切るといった動作がしにくくなったり痛い足をかばいながら歩くことにより歩行が不安定になり左右にふらついたりします。

さらに悪化すると痛みで歩けなくなり寝たきりの原因にもなります。そうならない為にも早い段階でしっかりと検査を受け股関節の状態を知ることが重要です。

*骨盤と大腿骨がずれている先天性股関節脱臼(せんてんせい股関節脱臼)や大腿骨とつながる骨盤部分に問題がある臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)は幼少期から女性に多くみられます。

・いい状態を維持するためにはしっかり運動をしましょう

変形性膝関節症を予防するためには日ごろから適度な運動をして股関節周辺の筋肉を鍛えると共に柔軟性を向上させることが必要になります。

今回は変形性膝関節症の初期の方(歩行や階段の昇降に違和感がある)(座骨神経痛を繰り返す)方の予防の方法を紹介します。

基本的には筋肉の運動とストレッチです。

<ストレッチ>

1 床に座り無理のない範囲で両足を大きく広げます。

2 足の親指側を内側に床に近づけ倒すように内回転させます。

3 反対に足の小指側を外側に倒しながら外回転させます。

上記の運動を一セット5~6回を1日2~3回行います。ストレッチを行う時は呼吸を止めずにゆっくりと呼吸をした方が効果的です。

いざ運動をしてみると思っている以上に股関節が硬くなっていることに気づき驚く人も多いと思います。生真面目な人はやりすぎてしまう事があるので毎日少しずつ続けてください。

徐々に慣れてきたら1の状態から体を少しずつ前に倒す運動を行います。いきなり強く倒すとお尻や足、腰の筋肉負荷がかかり痛めてしまうことがあるので注意してください。

<筋肉の運動>

股関節周辺の筋肉を鍛えることにより股関節をサポートし負担の軽減できます。

代表的なものとしてスクワットがあります。

膝に痛みがない場合に行います。

1 足先を少し外に開き肩幅に広げて立ちます。

2 手を頭の後ろで組み正面をむいたまま息を止めずにゆっくりと膝を曲げていきます。

3 膝を曲げた姿勢を1秒間キープしてその後ゆっくりと膝を伸ばします。(最初は曲げ伸ばしだけでもかまいません)

この運動の目安は10~30回ですが体力や年齢により個人差がありますので自分に合った回数を無理なく行ってください。

スクワットを行う時に姿勢が前かがみになると腰等に余分な負荷がかかるので姿勢が悪くなる人は壁の30センチ前に立ち壁に手をつきながら行うと姿勢が安定します。またキープする時間が長いときつくなるので初めは無理をせず軽い曲げ伸ばしだけでも効果はあります。

股関節や腰、膝にすでに痛みがある場合はいきなりスクワットをすると症状が悪化することがありますので負担のかかりにくいプールでの歩行から初めてください。

自己流で行うと関節に負担がかかることがありますので指導スタッフのいるプールがおすすめです。

健康な体は毎日の積み重ねにより獲得できます。

コツコツと頑張りましょう。

わからないことがあれば何でもお問いあわせください。